2021年1月。
その日会社の仕事はお休みで、予定もありませんでした。
ちょっと自分を甘やかす日にしようと思い、神戸の街をぶらぶらしてからマリアージュフレールに立ち寄りました。
紅茶が好きな人なら知らない人は居ないんじゃないかと思うほど有名な紅茶ブランド。缶に入った茶葉を2種類買って帰りました。
寒い日だったから帰ってすぐにそのうちの一つに熱湯を注ぎました。蓋をしていても部屋中に漂う香り。もう既に私の心は満たされていました。
「Eros」-紅茶につけられた名前も良い。
ティーカップに注いで熱々の紅茶を一口。かっこいい缶を眺めながら、マリアージュフレールを飲んでいる自分に酔っていました。笑
この香りは人工香料よね?ふと気になって食品表示ラベルに目を通す。紅茶の産地は「中国」。茶葉の原産国は大体スリランカ・インド・中国などを目にするけれど、そういえば国産「Made in Japan」の紅茶って見たことないな、と思いました。しかもブレンダー会社ばかりが前に立って「フランスの紅茶」みたいに思っていたけど、中国と言ってもどんな地方でどんな人がこの紅茶を作ったのだろう。なぜかその時、そのことがすごく気になりました。そしてすぐにGoogleで「国産 紅茶」と検索してみました。
そしてそこで初めて15年ほど紅茶を飲み続けてきたけれど知らなかった「和紅茶」というワードに出会いました。「和紅茶」とは日本国内で育った茶葉を使用して、日本で製茶された紅茶のことを言うらしい。なるほど。
でもスーパーの紅茶売り場では「原産国:日本」と書かれているものは今でこそ並び始めたが、わたしがこのワードに出会った凡そ3年前には見当たりませんでした。そこで日本の茶産地とされる鹿児島・静岡や、検索で出てきた茶農家さんのホームページより手あたり次第「和紅茶」というものを買ってみることにしました。
そして一週間ぐらいでぼちぼちと届き、いざ飲んでみると、、、正直言ってその時心から美味しいと思うものは一つもありませんでした。
これまでインドやスリランカ産の紅茶、ましてやフレーバー(人工香料)のついているものを飲んだりしてきた自分の中の「紅茶」の概念とはあまりにもかけ離れていたし、それらの紅茶のことを「紅茶」だと思っていたから。
のちになって気づくのだけれど、その時の私は、たかが自分の知っている世界だけの色眼鏡で和紅茶を飲んで「美味しくない」と思っていました。思えば国が違えば土も水も茶葉の品種も作り方も何もかも違うのに、なぜその紅茶と和紅茶を比べられることがあるのだろう。そんな私の浅慮な和紅茶飲み比べでしたが、唯一自分の好みに合う和紅茶がありました。
―それが「仙霊」でした。
その時の私は仙霊の紅茶に対して「こんなにも優しい気持ちになれたというか、、、まろやかで優しい口当たり、それなのに後味スッキリでどんな食事にも合いそうな紅茶に出会ったのは初めてです。」と書いています。
そう、海外製の紅茶と違って和紅茶がより‘美味しい’と感じられた点は「日本の食文化に合う」ということでした。
和紅茶を飲んだあとの私の行動は早かった。
なぜなら自分が日本で一番美味しい紅茶を生産したい!と思い立ったからでした。
今思えば私の紅茶に対する浅慮さがあったから飛び込めたんだと思う笑、そういう意味では当時の色眼鏡はあって良かった!と言っておきます笑。
こだわって和紅茶を生産されていそうで、問い合わせ先があって、まずは自分で行けそうな場所にあるお茶農家さんに「茶畑が見たい!生産者になるにはどうしたら良いか教えて欲しい!紅茶づくりが知りたい!」と失礼ながら体当たり的に連絡していた。それからJAにも新規就農の相談に行った。本気だったから、当時勤めていたブライダル会社の上司にも「わたしはお茶農家になるので、2年以内には辞めると思います。」と、まだ何も決まっていないのに報告していた。振り返れば色々恥ずかしいし大いに反省もしますが…とにかく、自分でも不思議なくらい、お茶の世界に吸い込まれるように入っていったのでした。
つづく